生活について

告白

「告白」(町田康)を読んだ。674ページあって装丁もしっかりしているので、なかなかに重い。腱鞘炎になるかと思った。この作品は出てくる人たちがもれなく不幸のどん底に落ちていくんだけど、ユーモラスな描写が多くて、所々で大笑いしながら読んだ。

特に良かったのが主人公である熊五郎が、村の娘達とじゃらじゃら(ねんごろになること)すべく村の盆踊りに参加して、輪の中を踊りながら気になる娘の所で行こうとするのだけれど、前を踊るおじさんおばさん達に行く手を阻まれてなかなか思うように進めない。そうして苦労しながらエイヤと飛び出したら目の前には狂ったように踊るおじさん(伝さん)がいて、熊太郎が自分にセッションをかましてきたと勘違いした伝さんはさらに狂ったように踊る。そうしてふたりで向かい合ってわけもわからず踊り狂う様を「竜虎」と表現してある。

その他に、突然殴られたり衝撃を受けた時に登場人物がわけのわからない言葉を反射的に叫ぶくだりが何度かある。子供時代のエピソードでは水車が壊れたのを自分たちのせいだと激昂するおじさんがあまりに恐ろしくてつい「茶渋が落ちるの」とつぶやいてしまい、また怒らせてしまったり、賭博場で喧嘩するくだりで熊太郎が顔面にエルボーをくらった瞬間「酢醤油」と心のなかで叫んだりと、ちょっと浦安鉄筋家族を思い起こさせるような、表現の振り幅がとても心地よかった。

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