生活について

剣闘士(グラディエイター)

「帝国を魅せる剣闘士―血と汗のローマ社会史」(本村凌二)を読み終えた。いやあ、本当にまいった。まず冒頭の「ある剣闘士の手記」(実在した手記を翻訳した、という設定の本村氏による創作小説)が壮絶すぎる。本全体から汗と血の匂いがする。

その他にも剣闘士(グラディエイター)に関する史実がこと細かくまとめられている。そもそもどのような境遇の人たちが剣闘士になったのかや、生き残れる確率、興行(剣闘士の戦闘は興行として行われていた。剣闘士にも装備や戦い方によって異なるスタイルが存在し、どの組み合わせで対戦させるかも興行師の腕の見せ所だったそう)のプログラム内容など、背筋が凍るような資料が淡々と詳らかにされていく。剣闘士というと、1対1で剣と盾を携え戦闘するイメージしかなかったけれど、実際は模擬海戦(コロセウム内を水で満たし、多人数での海上戦を行わせる。人口池で行われることもあり、数千人規模の戦闘が行われることもあった)や猛獣同士の戦いなどもあったそう。

それでまあ、なんでこんなおぞましいことが数百年に渡って実施され続けたかというと、そこはやはり政治が絡んできている。早い話が、剣闘士は一般市民たちにとって熱狂的に支持されていた娯楽であり、長たちは興行をさかんに行うことで市民の支持を得ていたようだ。

というわけで凄惨な内容だったので渋い顔で読み進めるしかなかったけれど、一部オッと思う箇所があったので書いておきたい。

剣闘士が被る兜についての記述で、初期の剣闘士は「魚兜士」といって魚の形を模した兜を被っていた。以後の兜はその派生であり、なので兜のトサカのような部分はトサカではなく、魚の背びれということになる。小学校の時に買ってもらったSDガンダムのプラモデル「バーサルナイトガンダム」には背びれだけではなく、ひれのような装飾もついているので、これも魚由来だったのかもしれない。
生活について