生活について

さつまいもおとうさん

・「ガケ書房の頃」(山下賢二)
・「大阪」(岸政彦・柴崎友香)

ガケ書房は独身時代によく行っていた書店。出町柳で自転車をレンタルして、ガケ書房に行って恵文社一乗寺店に行ってラーメンを食べて、トランスポップギャラリーに行って帰るのがお決まりのコースだった。ガケにはフリーペーパーもミニコミを置いていただいた。ガケで「京都ワッチャー瓦版」と「ロック自身」という、とんでもなく素晴らしいフリーペーパーを知った。いつ行っても、しびれる店だった。なのでこの本を読んで、あの店を経営するのにこんな背景があり、大変な苦労をされていたことを知って驚いた。ガケ書房からホホホ座に変わった経緯も書かれていて、人生!という感じ。すごいものを読ませていただいた。

巻末に山下さんが「本屋は勝者のための空間ではなく、敗者のための空間なんじゃないかと思っている。誰でも敗者になったときは、町の本屋に駆け込んだらいい」と書かれている。自分自身、本であったり本屋さんには何度も救われているので沁みる言葉だった。

「大阪」はおふたりが順に、大阪というテーマについて書いてらして、岸さんの、大阪はコンビニやイオンやユニクロが墓標のように立ち並ぶ焼け野原のようだという表現や、社会的・政治的・経済的地位も下がってしまったといった表現で大阪を下げてからの「でもそんな大阪が好き」という文で、Oh no…と思った。たとえ大阪が好きということを効果的に表現するためであっても、わたしが住む街のことを下げる言い方をされるのはしんどい。でも読みすすめていくうちに、大阪について何も知らなかったのはわたし自身の方で、社会学者である岸さんは自分が暮らす街としてだけでなく、社会学者として大阪に対する様々な知見を得られた上で、ああいった文を書かれていたのだと知った。わたしは大阪について、表面のきれいな部分だけを見て、いろいろと知ったつもりになっていた。

過去を振り返り、記憶の曖昧さを憂いて「ただもう、すべてのことが、きらきらと光って瞬きながら、すごいスピードで後ろに過ぎ去っていく。あとに何も残さず。」と書かれた一文があまりに美しくてグッときた。政彦ー!と思った。

仕事から帰ると、シュシュが今まで買ってもらったおもちゃひとつひとつについて「これは○○のときに○○に買ってもらったやつ」と説明してくれていて、よくそんなこと覚えているねという話になった。

ちなみにアニアのブラキオサウルスは「パパが東京に出張してホテルでお酒を飲んで顔が紫色になってたときにおみやげで買ってきてくれたやつ」と言っていて、記憶が鮮明!と思った。そうそう、出張のときは寝る前にFace Timeで通話をするんだけど、その日は電話に出るやいなやわたしの顔の色がさつまいもみたいになっていて、子どもたちにえらい心配をかけてしまった記憶がある。

さつまいもみたいな顔色でした。
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