生活について

2023年はじまりはじまり

2023年が始まった。年末年始の休みは例年稀に見るほどに充実していて、ギネス記録に挑戦して失敗したり、親族にも会えたし、プラモデルは3体(ガンダムエアリアル、スレッタ・マーキュリー、ミリオネ・レンブラン)作ったし、スーパーマリオワールド(1990年)を生まれて始めてクリアしたし、たくさん夜更かしをして家族と密に過ごした。シュシュは絵馬に「ちきゅうをまもる」と書いていた。Amazonで年始の爆買いもしたし、ありえないほどに英気を養った数日間だった。今年は良い年になりそう。

休み中は漫画をひとつも描かなかった。今年の目標は健康に過ごすこと、絵本を3作品作ること。ゆっくり進もうと思う。

「わたしのなつかしい一冊」(毎日新聞)を読んだ。毎日新聞デジタルに連載されている、著名な方々が自身にとってのなつかしの一冊を紹介するコーナーをまとめた本。斎藤真理子さんが「シカゴ詩集」(サンドバーグ)を紹介してらして、その中で「詩というものの本質は、ものやできごとの「見方」にこそあるのだ、と知っていったように思う。」と書いてらしたのが印象的だった。

あとは「アイデアのつくり方」(ジェームス・W・ヤング)を紹介した田中里沙さんがアイデアについて「アイデアとは、既存の要素の新しい組み合わせである」と書いてらして、アイデアとは無から捻り出すものと思ってウンウン悩んでいた自分には、とても響いた。

本を読みながら、自分にとっての「なつかしい一冊」は何だろうなとぼんやり考えてみたけど、やはり「家畜人ヤプー」(沼正三)だな。子ども時代から今も本棚に並んでいる本は、これとドッジ弾平と忍空くらい。あとは全部、大人になってから買った本。

「家畜人ヤプー」は高校生のときに買った。当時、男子校に通うイキリ高校生だったわたしのクラスに、Mといういつも本を読んでいるクラスメイトがいた。Mは窓際の後ろの方の席で、振り向くといつも揺れるカーテンの側で静かに本を読んでいた。Mは人と群れず、クラスのイベントにも参加しない。体育祭の仮装も、クラスでひとりだけやらなかった。そんなMのことを皆冷やかすようにからかったりすることもあったけど、わたしはその孤高っぷりに心底憧れていた。

日直というものがあり、担当の生徒は日誌を書くことになっていた。日誌の最後にフリースペースがあり、そこで皆自由にコメントを書き、後日担任がそれにコメントを追記する。わたしが日直になったときに何気なく前日のページをめくると、Mが担当の日だったようで、その日のフリースペースに書かれていたのが「家畜人ヤプー」の読後感想文だった。担任の先生が現代国語の教師だったこともあり、その日のフリースペースだけが異常な密度で論戦が繰り広げられていた。衝撃だった。まきまきうんこの絵を書いてフリースペースを埋めようとするわたしとの差よ、と思った。

その日、部活の帰りに古本屋に行き買ったのが「家畜人ヤプー」。一緒に「漂流教室」(楳図かずお)を買った覚えがある。家に帰って「家畜人ヤプー」を読んで、これまた衝撃を受けた。こんな話聞いたことない、テレビでも見たことない。読書感想文ですら背表紙のあらすじだけを読んでなんとかまとめようとするほどに文学に疎かったわたしに、本って面白!と思わせてくれた一冊だった。

結局Mとは1年から3年まで同じクラスだったけど、一言も言葉をかわしたことはなかった。だけど「家畜人ヤプー」を読んだという事実でMと繋がっているような気がして、ずっと嬉しかった記憶がある。
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