息子がわたしのランタン(LEDのやつ)を持ち出して、寝室で頭から布団をかぶってモゾモゾやっていた。布団がぽってりと光っていて、声を掛けると「光を見て味わいをしてるねん」と言っていた。味わいをする、という日本語は本当にあっても良いかもしれない。お布団に入ってきてと言うので顔をつっこむと、なるほど確かに味わいがある。光に照らされた息子の笑顔も尊かった。
娘は先日買ったスケジュール帳に予定を書き込んでいて、家族と友人と推しの誕生日と、それから給食がカレーの日に「カレー」と書いていた。寝る瞬間にランタンの光について、オレンジの光は温かいイメージ、白い光は冷たいイメージ、わたしはオレンジの光が好き、と言ってスーッと寝た。
「バリ山行」(松永K三蔵)を読んだ。バリは関西弁の「めっちゃ」の意味だと思っていたので、めっちゃ山の中に行きまくるんだろうなと思って読んだら、確かにめっちゃ山の中に行きまくるけど「バリ」は「バリエーションルート(通常の登山ルートと異なる、整備されていない困難な山の中を進んでいくルート)」という登山用語の略称だった。「山行」は「さんこう」と読む。松永さん曰く、「バリ山行」のイントネーションは「くりきんとん」とのこと。
中年会社員が主役ということもあり、会社での立ち振舞いの描写がグサグサと突き刺さる。山登りの場面では、結婚前に妻と登った六甲山が出てきて懐かしい。当時は風吹岩でコーヒーを美味しそうに飲んでいる男性3人組がいた。そこだけ景色がやけに光って見えた記憶がある。
キーマンとなる妻鹿さんのキャラクターも格好いい。圧倒的に憧れる。物語の終わり方も気持ちよくて、バリ山行ばり最高(韻を踏みました)。そして読み終えた後に何気なく本のカバーをめくって、オワーッ!となった。
松永さんのブログも面白くて、一気に読んだ。